バトルの末できたのがこのドアです。家づくりのエピソードのひとつです。
これは家の中から見た玄関のドアです。
お客さんが買い求められたステンドグラスを建具に仕込んでいます。
お客さんのご要望は「洋風に、縦長に木を使う、化学物質を使わない」でした。けれど、すんなりとはいかず、バトルの末に完成したのがこのドアです。
お客さんの要望をもう一度整理します。
まずは大前提として化学物質を使わないことです。
これは自然回帰の家の強みでもあります。
ここを理解していただき、依頼をいただきました。
だから合板は使いませんし、塗料も使いたくありません。
これに加えてデザインにおいての要求がありました。
●和風のデザイン以外のもので、どちらかといえば洋風のものにしたい。
●ドアに使う木は縦長に使いたい。
●ステンドグラスを使っているドアはどれも縦に木を使っている。
というのが要望でした。
これらの要望と格闘した結果がこの玄関ドアです。
形やデザインを重視すならば輸入材を使い、塗装もすればわりと簡単です。
しかし自然回帰の家の立つところは国産材の活用であり、化学物質の排除です。
ここを忘れたら、お客さんと私たちを結ぶ絆が切れてしまいます。
国産の木を使って洋的に見せるために、国産の広葉樹を使いたいのですが
長いものがなかなかとれません。
すると材料を横に使うことになります。
桜とか栗とかを使えば塗装をしなくても赤身のある重厚なドアになります。
けれどドアに加工したときの経年による狂いが大きくなります。
横に使えば可能なドアですが、木を縦にとの要望とは食い違います。
困りましたね、ほんとに。
要望をかなえてつくることはできます。
つくるのはできるけれど、その後のことに責任が持てないから困りました。
ドアが簡単に変形して鍵がかからなくなってしまうと予想されるからです。
だから
狂いも少なく縦長に使える材料として「桧」でとの提案をしました。
桧は和風建築にはなくてはならない木材です。
素直でしかも水に強く、経年による変化の少ない材を得るのが可能です。
ただ、材料を桧にすると和風になります。
この点を改良するために
鋳鉄の鋲と、鋳鉄のドアノブをつけることにしました。
それで完成したのが写真のドアです。
家づくりは、こんなドラマがいたるところにあります。
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コメント
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こんばんわ。
感動しました。
玄関のドアだけで これだけお客さんの要望(わがまま)をかなえるために ここまで親身に考え、仕事をするtatsuroさんのプロ魂に・・・。
σ( ̄∇ ̄;)ミィの家は彼是15年ほど前に建てましたが、こんなやり取りはありませんでした。(依頼したところがσ( ̄∇ ̄;)ミィの親戚だったもので結構、遠慮していた(^^;;)
もし、次、家を建てるとしたならば、ぜひtatsuroさん(またはみたいな人)にお願いしたいと思いました。
また、このプロとしての姿勢、σ( ̄∇ ̄;)ミィの仕事にも十分いかせると思います。
ありがとうございました^^
投稿: ユージ | 2009年5月 6日 (水) 01時42分
ユージさん こんにちは
今だから、こんなふうに書けるけれど、当時はほんとにどうしようかと思いました。
なんでこうなっちゃうのかなとか、ほんとにこれで大丈夫かなとか、
でも、やっぱり姿勢だけは崩さないように、しっかりと高い意識だけは忘れないようにしました。
こんなことなんですよね、仕事をするということは。
投稿: tatsuro | 2009年5月 6日 (水) 13時10分