なかのひと


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2008年5月11日 (日)

母の日『古寺巡礼』そして私の夢

001今日も東浦和で見学会でした。
なんで、
たつろうは家づくりの
仕事をしてるのだろうって
思ったんですね。
初心を思い出そうと
思ったわけです。
 
かつて感動を覚えて
建築とはこんなに感動的というか、
人の心を揺り動かせるんだなと、
思ったのが『古寺巡礼 (岩波文庫)』でした。

 
 
改めて開いてみると
こんな一説がありました

 この心持ちは一体何であろうか。
 浅い山ではあるが、とにかく山の上に、
 下界と切り離されたようになって、一つの長閑な村がある。
 そこに自然と抱き合って、優しい小さな塔とお堂とがある。
 心を潤すような愛らしさが、すべての物の一面に漂っている。
 それは近代人の心には
 あまりに淡きに過ぎ平凡に過ぎる光景ではあるが、
 しかしわれわれの心が和らぎと休息とを求めている時には、
 秘めやかな魅力をもって
 われわれの心の底のある者を動かすのである。
 古人の抱いた桃源の夢想
  ーそれが浄土の幻想と結びついて、この山上の地を択ばせ、
   この池のほとりのお堂を建てさせたのかも
   知れないと思われるが、ー
 それをわれわれは自分たちと全然縁のない
 逸民の空想だと思っていた。
 しかるにその夢想を表現した山村の寺に面接して見ると、
 われわれはなお
 その夢想に共鳴するある者を持っていたのである。
 それはわたくしには薫きであった。
 しかし考えてみると、
 われわれはみなかつては桃源に住んでいたのである。
 すなわちわれわれはかつて子供であった!
 これがあの心持ちの秘密なのではなかろうか。
 
 
もってるのは
もう何年も経ってるから色も変わってるし、
表紙も何の飾りもない、一昔前の岩波文庫です。
冒頭の画像がその表紙です。

これを確か18の頃読んだ記憶があります。
裏表紙に1981年5月15日第8刷発行、とあるので
2・3年の誤差はあるだろうけど、その頃に読んでいたんですね。
 
 
今日は母の日ということもあって、田舎の母に電話をしました。
だからなのか、上の箇所で止まったのでしょうか。
生まれ育った田舎の風景を、かなり正確に描いてるんです。

子供の頃、
山道を登って降りて、沢では遊び、
暗くなってくるとおっかなくて、走り出して通った道の果てに、
山の中から急に開けた集落。
そこが生まれて育ち、今も母が住むところです。

家のことを考えてたのに、子供の頃を思い出しました。
 
 
心がホッとする、目立ちはしないけど、
ほんものの家を作ろうと、同時に思うのです。
 
 
じゃあ、そんな家はどんなのって
こんな話になります。

具体的な家の形は、あるように思います。
軒が長く、その長い軒の先は手を伸ばせば届くかもしれない。
それくらいに家が外の環境と溶けている。
その家を通る風は混ざり気のない純な風。
やさしくやさしく人を包み、穏やかに暮らしていける。
こんなイメージです。

これを実際に形にするときには、やっぱり自然素材なんです。
昔から使われる瓦に代表する材料だったりするんですね。

ということは
追い求めている私の桃源はいつもの仕事の中にあるようです。
 
 
心の奥にある夢を大きく大きくするため、
だれでも『古寺巡礼』の上の一文には感動すると思います。
この喜びを一人でも多くの方に伝えるにはどうしたらいいのか
ここを思わなくてはいけません。
どんな心持ちと姿勢でのぞんでるのかを日々チェックしつつ
今日も明日もその次も、喜んで走り回るんですね。
 
 
変革できなかった恐竜が滅んだように
今まで成功してきたから、明日も平気さではありません。

いつもと同じではなく、
決まり事や礼や伝統みたいなものはあるのでしょうけど
変革すべきは、特に自己の変革ですね。

人の意見に耳を貸していれば、
自己変革すべきことは見えるのですから、
初心を忘れずに夢を大きくなり、
そうして喜んでもらえると思います。
 
 
見学会の話から、『古寺巡礼』になり、母の日から
こんな内容になってしまいました。
 
 
 
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コメント

本に対する想い、家に対する想い、母に対する想いを読んで、tatsuroさんの真面目な考え方が伝わってきました。
私も、カーネーションはプレゼントできませんが、母に電話をしました。

gonsukeさん こんばんは

今年はエプロンを送り、電話しました。
喜んでくれました。
今度、いつ田舎に帰ろうかなと思います。

こんにちは。

遊びにきたら、いきなり和辻哲郎の「古寺巡礼」の話題!うれしいです。

確か、高校の教科書に載っていたのをきっかけに、この本を読み、それから「桂離宮 様式の背後を探る」という本を読みました。

 学生時代には、和辻哲郎全集を古本屋で買って、読みました。内容は覚えていませんが…(汗)

 私の母も父も、神社仏閣めぐりが好きで、私も出張先で、時間があると、良く近隣の名所を巡ります。

懐かしくなって、もう一度読み返したくなりました。

こんにちは。

 どこかでお見かけしたことがあると思っていたら、ビルダーナースさんのブログでのコメント欄でした!(^_^)

 さて、お邪魔したら、いきなり私の好きな和辻哲郎氏の古寺準礼の話題で、うれしいです。

 高校時代の教科書に載っていて、それをきっかけに、桂離宮の著書も読みました。

 学生時代は、ちょっと硬派に、和辻哲郎全集を古本屋で買って、確か全部読んだのですが、忘れてる…。(~_~;)

 私の母も父は、神社仏閣巡りが好きで、私も出張先では、時間があれば、地元のそういうところを訪ねます。

 久しぶりに、古寺巡礼を読み返したくなりました。

馬淵さん こんばんは

コメントありがとうございます。
私も最初から最後まで古寺巡礼を味わいながら読みたいです。最近は拾い読みです。
ビルダーナースさんとは食事をしたりして、一方的にお世話になってます。
なにはともあれ夢をと思っています。
では、また遊びに参ります。

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