母の日『古寺巡礼』そして私の夢
今日も東浦和で見学会でした。
なんで、
たつろうは家づくりの
仕事をしてるのだろうって
思ったんですね。
初心を思い出そうと
思ったわけです。
かつて感動を覚えて
建築とはこんなに感動的というか、
人の心を揺り動かせるんだなと、
思ったのが『古寺巡礼 (岩波文庫)』でした。
改めて開いてみると
こんな一説がありました
この心持ちは一体何であろうか。
浅い山ではあるが、とにかく山の上に、
下界と切り離されたようになって、一つの長閑な村がある。
そこに自然と抱き合って、優しい小さな塔とお堂とがある。
心を潤すような愛らしさが、すべての物の一面に漂っている。
それは近代人の心には
あまりに淡きに過ぎ平凡に過ぎる光景ではあるが、
しかしわれわれの心が和らぎと休息とを求めている時には、
秘めやかな魅力をもって
われわれの心の底のある者を動かすのである。
古人の抱いた桃源の夢想
ーそれが浄土の幻想と結びついて、この山上の地を択ばせ、
この池のほとりのお堂を建てさせたのかも
知れないと思われるが、ー
それをわれわれは自分たちと全然縁のない
逸民の空想だと思っていた。
しかるにその夢想を表現した山村の寺に面接して見ると、
われわれはなお
その夢想に共鳴するある者を持っていたのである。
それはわたくしには薫きであった。
しかし考えてみると、
われわれはみなかつては桃源に住んでいたのである。
すなわちわれわれはかつて子供であった!
これがあの心持ちの秘密なのではなかろうか。
もってるのは
もう何年も経ってるから色も変わってるし、
表紙も何の飾りもない、一昔前の岩波文庫です。
冒頭の画像がその表紙です。
これを確か18の頃読んだ記憶があります。
裏表紙に1981年5月15日第8刷発行、とあるので
2・3年の誤差はあるだろうけど、その頃に読んでいたんですね。
今日は母の日ということもあって、田舎の母に電話をしました。
だからなのか、上の箇所で止まったのでしょうか。
生まれ育った田舎の風景を、かなり正確に描いてるんです。
子供の頃、
山道を登って降りて、沢では遊び、
暗くなってくるとおっかなくて、走り出して通った道の果てに、
山の中から急に開けた集落。
そこが生まれて育ち、今も母が住むところです。
家のことを考えてたのに、子供の頃を思い出しました。
心がホッとする、目立ちはしないけど、
ほんものの家を作ろうと、同時に思うのです。
じゃあ、そんな家はどんなのって
こんな話になります。
具体的な家の形は、あるように思います。
軒が長く、その長い軒の先は手を伸ばせば届くかもしれない。
それくらいに家が外の環境と溶けている。
その家を通る風は混ざり気のない純な風。
やさしくやさしく人を包み、穏やかに暮らしていける。
こんなイメージです。
これを実際に形にするときには、やっぱり自然素材なんです。
昔から使われる瓦に代表する材料だったりするんですね。
ということは
追い求めている私の桃源はいつもの仕事の中にあるようです。
心の奥にある夢を大きく大きくするため、
だれでも『古寺巡礼』の上の一文には感動すると思います。
この喜びを一人でも多くの方に伝えるにはどうしたらいいのか
ここを思わなくてはいけません。
どんな心持ちと姿勢でのぞんでるのかを日々チェックしつつ
今日も明日もその次も、喜んで走り回るんですね。
変革できなかった恐竜が滅んだように
今まで成功してきたから、明日も平気さではありません。
いつもと同じではなく、
決まり事や礼や伝統みたいなものはあるのでしょうけど
変革すべきは、特に自己の変革ですね。
人の意見に耳を貸していれば、
自己変革すべきことは見えるのですから、
初心を忘れずに夢を大きくなり、
そうして喜んでもらえると思います。
見学会の話から、『古寺巡礼』になり、母の日から
こんな内容になってしまいました。
「サイドバー」と『お気に入りの本』も注目。コメントは読後感であり私的評価です。
★コメントはスパム防止のため、一旦公開を保留させていただいております。ご了承くださいませ。
« 長い軒の下での雨や自然 | トップページ | 小屋の梁と差し鴨居 »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 近くを歩いて保存樹木や他を圧倒する緑に気づきました。(2012.05.09)
- 快適な新居で読書?居眠り?でも今日の再発見があります。(2011.09.27)
- ゴムがちぎれそうでしたが今日の節目で上昇気分に転換です。(2011.08.09)
- 地鎮祭を行う予定の現場の近くでカチッカシャと織機を見ました。(2011.06.23)
- 気分だけでもすっきりとしたくて、するような気がして、似合わないね!とよく言われるのですがここのところはこれを聴いてます。(2011.06.22)
「 ●家づくりに思うこと感じること」カテゴリの記事
- ブログ再開。家の根源と本質な快適と自然素材(2017.08.02)
- 家を建てるための地盤と基礎をつくるための地盤調査(2015.09.29)
- 自然回帰の家モデルハウス 地盤調査の結果が思ったより良くて(2015.09.28)
- 自然回帰の家の新モデルハウスの室温予測です。(2015.08.24)
- 新築する家の風通しはとても良くなる! そう確信しました!(2015.08.08)
「 ●本 家づくりの現場から」カテゴリの記事
- 『永遠のディーバ』を読みました。(2014.11.16)
- 家とか建築をつくることへの憧れは『古寺巡礼』との出会いから始まりました。(2012.05.20)
- 寝床に本を持ち込んで楽しみたい北方謙三著『史記』です。(2011.08.22)
- 歴史的な木造建築は美しいけれど実は弱点もあります。(2011.06.29)
- 最強の木造住宅をつくる『建築知識ビルダ-ズ No.05』です。(2011.06.27)
「 ●家づくりの哲学 家って何?」カテゴリの記事
- 長期優良住宅と地域型住宅グリーン化事業に取り組む意味(2015.08.06)
- 『暮らし省エネマイスター』検定の検定試験結果通知書です(2012.11.08)
- 夏を快適に暮らす家にするにはどうしたらいいでしょう。(2012.05.29)
- 家は美しくて地震に強く快適で住みやすいのが一番です。そのうえで工夫を凝らした行動が省エネだと思います。(2012.05.27)
- ひとつひとつは退屈だけど組み合わせると一挙におもしろくなる省エネ・快適技術ってなんだろう?(2012.05.25)
「 * 私の古典」カテゴリの記事
- 『史記列伝』の現代語訳を布団の中で読めて幸せです。これも家づくりで大切にしたいことです。(2011.01.21)
- 『風の谷のナウシカ』を読んで人や罪や優しさを思いました。(2010.02.23)
- 「前ばかり向いて歩かずに、ときには立ち止まり後ずさりして」と思って軽くなったお休みです。(2010.02.01)
- もっともっと揺るがないように心を平らかにするように先人に学ぼうと思います。(2009.11.29)
- 私が学んで伝えて、ずずんと拡がり、廻りが喜んだら、それこそ幸せです。(2009.07.11)
「 ●生き方や仕事の仕方」カテゴリの記事
- 日々の地味なことの継続が家に命を吹き込むものと信じています。(2011.06.07)
- 大切な省エネ性能を形にするためには説明と筋道に乗って家づくりするための知識がどうしても必要です。(2011.06.03)
- 夢と義務と楽しみと一機に解決しちゃうのが仕事だと思います。(2010.12.19)
- だんだんと出来上がっていく家に立ち会えるのはとっても嬉しいです。(2010.11.10)
- 気にいった写真はなんの目的もないのかもしれません。家づくりもこうなのかもしれません。(2010.10.29)
「 * 建築の本」カテゴリの記事
- 家とか建築をつくることへの憧れは『古寺巡礼』との出会いから始まりました。(2012.05.20)
- 歴史的な木造建築は美しいけれど実は弱点もあります。(2011.06.29)
- 最強の木造住宅をつくる『建築知識ビルダ-ズ No.05』です。(2011.06.27)
- 18年前にワクワクしてた燃料電池が夢の我が家で実現。それはもうとびっきりのワクワクです。(2011.05.16)
- 「長期優良住宅」と「食寝分離論」がくっつきながら歩きます。(2009.07.02)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
本に対する想い、家に対する想い、母に対する想いを読んで、tatsuroさんの真面目な考え方が伝わってきました。
私も、カーネーションはプレゼントできませんが、母に電話をしました。
投稿: gonsuke | 2008年5月12日 (月) 11時14分
gonsukeさん こんばんは
今年はエプロンを送り、電話しました。
喜んでくれました。
今度、いつ田舎に帰ろうかなと思います。
投稿: tatsuro | 2008年5月12日 (月) 21時02分
こんにちは。
遊びにきたら、いきなり和辻哲郎の「古寺巡礼」の話題!うれしいです。
確か、高校の教科書に載っていたのをきっかけに、この本を読み、それから「桂離宮 様式の背後を探る」という本を読みました。
学生時代には、和辻哲郎全集を古本屋で買って、読みました。内容は覚えていませんが…(汗)
私の母も父も、神社仏閣めぐりが好きで、私も出張先で、時間があると、良く近隣の名所を巡ります。
懐かしくなって、もう一度読み返したくなりました。
投稿: 馬渕@しあわせデザイン | 2008年5月13日 (火) 19時59分
こんにちは。
どこかでお見かけしたことがあると思っていたら、ビルダーナースさんのブログでのコメント欄でした!(^_^)
さて、お邪魔したら、いきなり私の好きな和辻哲郎氏の古寺準礼の話題で、うれしいです。
高校時代の教科書に載っていて、それをきっかけに、桂離宮の著書も読みました。
学生時代は、ちょっと硬派に、和辻哲郎全集を古本屋で買って、確か全部読んだのですが、忘れてる…。(~_~;)
私の母も父は、神社仏閣巡りが好きで、私も出張先では、時間があれば、地元のそういうところを訪ねます。
久しぶりに、古寺巡礼を読み返したくなりました。
投稿: 馬渕@しあわせデザイン | 2008年5月13日 (火) 20時12分
馬淵さん こんばんは
コメントありがとうございます。
私も最初から最後まで古寺巡礼を味わいながら読みたいです。最近は拾い読みです。
ビルダーナースさんとは食事をしたりして、一方的にお世話になってます。
なにはともあれ夢をと思っています。
では、また遊びに参ります。
投稿: tatsuro | 2008年5月13日 (火) 21時39分