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2008年2月27日 (水)

家づくりの理想と欲

家は人が住みます。
その住む人が家の作り手に、
「家を作ってください」と注文します。

するとそこには、
作り手の一貫性とともに住む人の意向や趣味が加わります。

この住む人の意向が千差万別です。


見た目が綺麗で可愛らしくてというのも少なからずある注文です。
別の注文では安全な家を望まれます。
これとはまた別に、暖かい家、地震に強いを望まれます。

全てを叶えて欲しいというのが注文です。

安全な家を希望すれば、
それは即ち化学物質を全て排除する事になります。

これとは裏腹に、これは作り手の論理かもしれませんが、
綺麗で汚れにくくて見た目も可愛くというのを実現するには
いくらかの化学物質を使わなくてはきちんと作れません。
例えばタイル。

キッチンや水の飛び散るところを汚れから守るには
タイルを貼るのが先ずは案として浮上します。

けれど、このタイル。どうやって貼ろうかというのが問題です。
現状の工法では、
接着ボンドを貼るのが一般的であり
時間がたってはがれてこないための作り方です。
タイルの裏にボンドを塗って
下地となるコンクリートやボードに貼るわけです。

このボンド。
実はごく少量でも極めて毒性の強い化学物質が含まれています。
もちろん、その物質が揮発せずに人が吸引することがなければ危険からは遠ざかります。

ここは基本的な家づくりの主旨からすれば
ボンドを使わない事が最も良いでしょう。
でも、タイルを貼る方が良いことになるかもしれません。
どちらにするかは決めることです。

ボンドを使わないためにはどうするか。
タイルを貼る箇所をコンクリートにするか、
モルタルで下地を作り直す事になります。

でも、これ、簡単そうですけれど、現実的にはかなり困難です。
タイル張りにするならば
最初からコンクリートで家を考えるべきです。
でも一方で安全な家を求められる方は、
集成材を使わない無垢の木の家を望まれます。

コンクリートは想定外なのです。

ここで、汚したくなく綺麗なタイルと安全な家という
二つの事が相反する事になり、
判断を迫られる事になります。

安全な無垢の木の家という基本的な家づくりの主旨、
汚れにくく掃除のできる綺麗なタイル、
どちらを選択するのか。

両方ともに解決するのは難しいです。

ここからは話をして、どっちにするか決断です。

こんな事が家づくりには一杯です。

理想と欲との調整が家づくりのポイント。

欲だけを良しとすれば、安全にという一貫性が吹き飛びます。
すると、ちぐはぐな家となってきて、
家の持つべき「心」が感じられなくなるでしょう。きっと。

幸いに『自然回帰の家』では
一貫性を重視してくださるお客さんが圧倒的に多いので
「心」を感じる家が生まれています。
 
 
 
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