ご先祖は何処に寝たのでしょうか
帳台,帳台構,塗籠,納戸 のお話しです。
共感!頂いたら,バナークリックで清き一票を!
一昨日のブログでは,源氏の君は塗籠に寝ていると書きましたが,これは間違い。
高貴な方は帳台あるいは帳台構に寝ていたようです。あるいは寝室の専用部屋で。
では,平安時代から中世期にかけて人はどんな所に寝ていたのでしょうか。
これをかなりおおざっぱに分けると
帳台,帳台構
塗籠構
納戸構
寝るのも食事も同じ所
以上の四つに分かれる。
構とは柱,床,建具,天井で建築されたもの。という意味。
帳台は屋内に□に土台を置いて,その上に柱を建て,
柱の頭に横の木を渡し,これに帷を掛けたもの。
似たものでは,中国の皇帝とかアラブの王様が,廻りにシルクのカーテンをまわしたベッドに寝ているのを見たことありませんか。これに似ています。
シルクのカーテンが帷。
四つの角には柱が立っています。
帳台にはベッドはなく,一段高くなっています。
この帳台の帷を襖障子にしたものを障子帳といいます。
これらを吹き放ちの広間,板敷きの床の上に家具のように置いて,
ここに寝るわけですね。きっと寒いでしょうね。
あと,カーテンで仕切られているわけですから無防備です。
帳台を恒久的につくり建築と一体になったものを帳台構えといいます。
書院の床にむかい右のあるのを帳台構えをいいますが,平安時代の遺構といわれています。暴れん坊将軍とか大奥とか気をつけて見てみてください。将軍の右にあるのが帳台構えです。
塗籠構えは,
板壁または塗壁に囲まれた,3〜4帖くらいの小さい部屋で,
入り口は板製の扉または引き違いの障子で区切ることのできるもの。専用の寝室。
この時代においては,寝る部屋は北の奥に配置されています。
塗籠構えは寝具の未発達の状態で,寝るために設けられた専用室のようです。
帳台よりも格段に暖かいはずです。
納戸構は,
塗籠構えと非常に似ているけれど,その入り口には閂などの鍵が掛かり,
扉なども頑丈につくられている。
暖かいし,防御性にも勝れた倉兼用の寝室となります。
塗籠構は寝る部屋であるが,納戸構えは寝る部屋であり大事なものを納める倉でもある。
納戸構は入り口も小さくつくられており,
納戸構と帳台構は似ているけれど,全く違う系統のものであろうと考えられています。
民家でヘヤ,ナンドといわれているのは,この納戸構の延長なのでしょう。
現代の我々はこのような流れを経た住宅建築に住んでいるのですが。
ここに西欧の洋式も混ざって更に難解になってるけれど,
温度環境が良くて,防犯性に勝れ,かつ開放性の高い室に寝ようとしていますね。
だから,現代版納戸構に現代人は寝ているのだと思います。
そのとおり!と,思ったら,下のバナーをクリックしてくださいね。
↓↓↓↓↓↓↓ ↓↓↓↓↓↓↓
左サイドバーのお気に入りの本も注目。コメントは読後感であり私的評価です。
« 源氏の君は何処に寝るのかな | トップページ | 進歩したので幸せです »
「 ●家づくりに思うこと感じること」カテゴリの記事
- ブログ再開。家の根源と本質な快適と自然素材(2017.08.02)
- 家を建てるための地盤と基礎をつくるための地盤調査(2015.09.29)
- 自然回帰の家モデルハウス 地盤調査の結果が思ったより良くて(2015.09.28)
- 自然回帰の家の新モデルハウスの室温予測です。(2015.08.24)
- 新築する家の風通しはとても良くなる! そう確信しました!(2015.08.08)
「 ●家づくりの哲学 家って何?」カテゴリの記事
- 長期優良住宅と地域型住宅グリーン化事業に取り組む意味(2015.08.06)
- 『暮らし省エネマイスター』検定の検定試験結果通知書です(2012.11.08)
- 夏を快適に暮らす家にするにはどうしたらいいでしょう。(2012.05.29)
- 家は美しくて地震に強く快適で住みやすいのが一番です。そのうえで工夫を凝らした行動が省エネだと思います。(2012.05.27)
- ひとつひとつは退屈だけど組み合わせると一挙におもしろくなる省エネ・快適技術ってなんだろう?(2012.05.25)
「 ●古い家,建築 家づくりの歴史」カテゴリの記事
- 家は美しくて地震に強く快適で住みやすいのが一番です。そのうえで工夫を凝らした行動が省エネだと思います。(2012.05.27)
- 周りにあんまり振る舞わされずにいこう!と、おもった夢の我が家です。見学会は7月30 ・31日です。(2011.07.06)
- 古くなるほどに良くなっていく家が理想の姿です。(2011.06.09)
- ドイツ三日目朝の大聖堂とドナウ川です。(2010.05.30)
- とても静かな修道院の中です。家もじつはこうなのでしょうか。(2010.05.29)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
通気性と、断熱。
相反するようでそうでもないんですよね~!!
投稿: さき姉 | 2007年1月12日 (金) 22時09分
さき姉さん こんばんは
家は断熱を強化するにつれ耐久性が落ちました。
そのため,通気層を設けるのが良いと思います。
家には
遮熱 断熱 蓄熱 の三つを総合的に考えなくてはいけないと思います。
外断熱=良い家 ナンセンス!
投稿: tatsuro | 2007年1月13日 (土) 21時30分
tatsuroさん、興味深く読ませていただきました。
おせっかいですが、少し補足させていただきます。
帳台は鎌倉時代に間仕切りの発達とともになくなっていきます。
障子帳は天井まで4枚の障子でつくられた面白いものですが、平安時代まででそれ以降には見られません。
障子帳の後継とされる書院の帳台構は右に配置されるのが多く「本勝手」と呼ばれ(床は左、棚は右です)、まったく逆のものを「逆勝手」といいます。帳台構は「武者返し」とも言われ、武家の書院では護衛のものの潜む場所だったともされています。
また、御所の清涼殿では塗籠の中に御帳台とよばれる豪華な帳台が置かれています。塗籠は宝物を納める神聖な空間であり寝所でもありましたが、儀式につかわれるように少しオープンになっていったのち、最終的には単なる物置となっていったという見方があります。尚、源氏物語では塗籠事件なる章があるみたいですが、読んでないのでわかりません。taturoさんもしわかればその章で塗籠がどんな扱いだったか教えてください。
納戸構は民家においては近世はじめに3間取りの民家で広間につくられるようになったようです。そのうち寝室専用として扱われたのが「ヘヤ」なんだと勝手に解釈しております。
すみません。ついつい書きすぎました。
とにもかくにも、日本建築史とか歴史と書くと難しくなりますが、「あー昔の人はこんなところで寝てたんだぁ」とか考えるとやっぱり面白いですよね。○○する時はどうしたんだろうとか・・・。
皇后は宝物を抱きながら・・・。
tatsuroさんのせいですこしだけ研究室に戻りたくなりました。
こうやって、「寝所」もしくは「寝るという行為」だけクローズアップしても大変おもしろいですよね。
次はトイレ(雪隠)なんてどうでしょうか?
投稿: kumaotoko | 2007年1月13日 (土) 23時01分
kumaotokoさん こんばんは
いろいろ補足。勉強にもなるし,我執も振り払えていいですね。
でも,いろいろ調べて,考えていくとほんとに面白い。
更に,現実の仕事と絡めると更に味わいが深くなります。
今後も宜しくお願いします。
投稿: tatsuro | 2007年1月14日 (日) 21時42分