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2006年1月10日 (火)

家父長的世界

 この正月に家父長的なるものを、帰郷していた僅かな時間ではあるが実感し、この世界に身を置いた。
 というのは、元気だった父が急に他界したからである。本当に突然のお別れとなってしまった。通夜を自宅で行い、告別式も自宅で執り行い、初七日の法要も自宅でというのが、本来の姿。もっとも、正月という事もあって告別式は典礼ホールで執行したが、告別式終了後には近しい人が自宅に勢揃いした。

 この時、一同の前で、挨拶をする。続き間には長さ一間のテーブルが三つ並び、台所にも奥さん達が身動き出来る程度に集まり、最前で改まった挨拶。これ、家父長なのだろうか。

 田舎では、通夜の夜に仏前にお供えするのは「めざまし」という。漢字で書くと「目覚まし」。めざましは、通夜の夜に故人を囲んで寝ずの番をする人たちの目を覚ますためのお茶菓子。
 通夜の夜は、家父長は眠れない。続き間に一杯の人々が寝ないのだから、家父長は寝ない。通夜の夜には、親族一同と近隣の方々で続き間は人で一杯になる。一杯の人に目覚ましのお茶菓子と焼酎を振る舞う。その時となれば、おにぎりやみそ汁も出される。だから、賄いのために台所は、奥さん達で一杯になる。
 
 家父長は上座に座り労いの礼をして、大まかな指示を出す。そうすると、年長の世話好きの男子から周りへ細かい指示が出る。これを見ている奥さん達は、人の動きを見て、賄いの準備をし始める。
 こんな中では、続き間がどうしても必要で、台所は大きくなる。台所は巾二間、奥行き三間の土間であればなお良い。
 
 続き間は普段の生活では必要性は感じないものの、祭儀などの人が集まる時には是非とも必要。襖も時には全て取り払ってしまいたい時もある。となると、鴨居と長押より、骨太の差し鴨居が似つかわしい。差し鴨居が柱にささり、襖や障子がなくなれば、柱も太い方が良い。続き間に大勢の人が詰まれば細い柱と繊細な長押と鴨居では、人の勢いに圧倒される。ましてや、壁がビニルクロスであれば、なおのこと人に圧倒される。

 こんな事を思うと、ビニルクロスや集成材の柱梁の下で、人は死んでもいいのかな、と思う。やっぱり、骨太の柱梁、漆喰の壁の家でゆっくりと長く休みたいもの。
 一同をまとめる家父長は薄っぺらい壁の前では、何となく味気ないと思う。だから家父長がまとめる人が多いほど、家父長の後ろの床は立派が良いし、続き間は広い方が良いし、柱と差し鴨居は太く黒く光り、壁も生きている方が良い。

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